含み益は、まだ交換されていない数字
画面に出ている含み益は、他人が直近に成立させた取引の値段でできた見積もりにすぎない。決済の値段は何が決めるのか、そして確定していない表示価格が唯一効いてしまう場面はどこかを整理する。
ロングを持ったまま昼を過ぎて、画面の損益が緑になっている。数字は少しずつ増えていく。まだ何も売っていないのに、もう手に入ったような気がしてくる。
決済していないポジションの損益を含み益という。これは取引所が今の値段を使って計算した見積もりで、誰かが「その値段で引き取る」と約束した数字ではない。損益が確定するのは、反対の注文と実際に交換が成立した瞬間だけだ。
表示に使われている値段は、他人の取引でできている
含み益は掛け算で表示される。片方は自分の枚数、もう片方は「今の値段」だ。この「今の値段」に、多くの取引所は直近に成立した取引の値段を使う。成立した取引は他人同士のもので、それがどれだけの量だったかは表示に出ない。ごく小さな量で付いた値段でも、含み益は同じだけ増える。取引所によっては、1か所の直近の値段ではなく、複数の取引所の値段をならした基準の値段を使うところもある。どちらにしても、自分の枚数をその値段で交換できると確約されたわけではない。
ただし、表示の値段に何の力も無いわけではない。証拠金を預けて自分の資金より大きい枚数を扱う取引では、この表示の値段が、取引所が自動でポジションを閉じる判定にも使われる。自分で決済していなくても、表示が決められた水準に触れれば閉じられる。確定していない数字なのに、閉じる引き金にはなる。
出口の値段は、そのとき出ている反対注文が決める
決済の注文を出すと、その瞬間に反対側で待っている注文と順に交換される。「この値段で買う」「この値段で売る」と出されている注文の一覧を板という(ブートキャンプ第1章)。見えている値段で自分の枚数を全部交換できるのは、その値段に自分の枚数以上の注文が並んでいるときだけだ。足りなければ、残りは次の値段、その次の値段で埋まる。実際の決済価格は、それらの平均になる。同じことは、ポジションを持つときにも起きる。ボタンを押した瞬間に見えていた値段と、実際に成立した値段が一致するとは限らない。自分の値段は、入るときも出るときも、交換が終わってから分かる。
板が薄い時間ほど、表示と結果の差は開きやすい。だから、出口は頭の中ではなく注文として置く。ポジションを持つ前に、利確する値段と損切りする値段を決めて、注文として出しておく。
記録を付けるときは、決済が終わった数字だけを使う。含み益の最大値は、口座には一度も入っていない。それを実績として書き残すと、自分がしていない取引の記録が増えていく。
口座を数えるのは、交換が終わってからでいい。
--- ※ この記事は情報提供および学習を目的としたもので、投資助言・勧誘ではありません。取引の判断はご自身の責任でお願いします。
記事の一覧 | トレード用語集 | NoFOMO Club