追いかけた分だけ、損切りが遠くなる
追う判断そのものを責めない。追った瞬間に動くのは建値だけで、無効化ラインは動かない。その差がRRと枚数に何をするのかを、机の上の計算として確かめる。
指値を置いていた水準がある。そこまで来たら入る、来なければ入らない。そう決めていたはずの水準に、価格はわずかに届かないまま反転し、画面には自分だけが乗っていない足が並ぶ。ここで手が動く。「まだ間に合う」と。
追う判断そのものを責める記事ではない。追った瞬間に、机の上で何が変わったのかを見る。
動いたのは、入る場所だけ
損切りを置く場所は構造で決まっている。直近安値の下、レンジの外、そこを割られたら「読みが違った」と言い切れる一点。ブートキャンプ第8章でいう無効化ラインだ。この一点は、価格がどれだけ走っても動かない。動くのは自分の建値のほうだけになる。
つまり、追いかけた距離はそのまま損切りまでの距離に足される。計画では建値から無効化ラインまで1だったものが、待たずに飛び乗った時点で2以上になっている。仮に口座10,000ドル、1トレードのリスクを2%=200ドルと決めているなら、同じ200ドルで持てる枚数は半分以下に落ちる。一方でターゲットは動いていない。枚数が半分以下に落ちたうえ、建値が上がったぶん残りの値幅も縮む。取れる金額は、枚数の減り方より大きく削られる。
もっと厄介なのは、遠くなった損切りが耐えがたくなることだ。距離があるほど、途中の逆行は数字として大きく見える。結果、無効化していないのに手仕舞う。設計した地点ではなく、耐えられなくなった地点で切る。同じ損失でも意味はまるで違う。前者は仮説が否定されただけだが、後者は仮説が生きたまま資金だけが減っている。
追う前に、一言だけ言う
これは気持ちの問題ではないので、手続きにできる。注文ボタンの前で、無効化ラインを声か文字にする。「ここを割ったら間違い」の一点を先に置いてから、いまの価格との距離を測る。
距離が計画の範囲に収まっているなら、それは同じトレードで、計画はまだ生きている。収まっていないなら、それはもう別のトレードで、別のトレードには別の根拠が要る。根拠を作り直さないまま、名前だけ引き継いではいけない。
そして見送ったのなら、見送りとして記録に残す。ジャーナルに現れない判断は、次に同じ場面が来たときには存在しなかったことになる。
追わなかった日に失うのは利益の可能性だけ。追った日に失うのは、そのトレードのRRと、次の判断の基準の両方だ。
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※ この記事は情報提供および学習を目的としたもので、投資助言・勧誘ではありません。取引の判断はご自身の責任でお願いします。
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