「乗り遅れた」は、たいてい事実ではない
「乗り遅れた」が成立するには出発時刻が要る。三つの問いでそれが自分の計画の中にあったかを確かめる。無ければ、失ったものは何も無いと分かる。
アラートは鳴らないのに、通知欄だけが賑やかな日がある。誰かのスクリーンショット、伸びきった足、「入ってた」の一言。自分の画面は静かなままだ。そこで出てくるのが「乗り遅れた」という言葉になる。
この言葉は、そのまま受け取らずに一度分解できる。遅れるためには出発時刻が要る。決まった時刻に出る列車があって、そこに間に合わなかった、という構造が無ければ「遅れた」は成立しない。
では、その出発時刻はどこにあったのか。自分の計画の中にあったのか。
確かめることは三つ
ひとつ、その動きの根拠を、動く前に書いていたか。「上がりそうだと思っていた」は根拠ではない。どの水準で、何を見て、どう動いたら入るのか。それが動く前に文字になっていたかどうかだけを問う。
ふたつ、そのとき置くはずだった無効化ラインを、いまでも引けるか。入る場所が本当にあったなら、間違いだと分かる場所も同時に決まっていたはずだ。値が伸びきった後になってもその一本が出てこないなら、計画は最初から無かった。
みっつ、画面に出ている値幅は、自分が想定していたターゲットのどのあたりに当たるか。どこまでが自分の設計の内側で、どこから先が外側だったのか。その線が引けないなら、値幅の大きさは他人の物差しで測っているだけになる。
三つとも答えられるなら、それは本当に取り逃した自分のトレードだ。記録する価値がある。「見えていたのに入らなかった」とジャーナルに残しておけば、同じ形が次に出たときの手が変わる。
答えられないなら、失ったものは何も無い。事前の根拠が無い場所に、自分のポジションは最初から存在していない。他人のトレードが進行しただけだ。しかもその画面には、他人の建値も、他人の損切りも、途中でどれだけ含み損を抱えたかも写っていない。写っているのは結果だけで、結果だけを見て生まれる遅れは、遅れではなく比較。
乗り遅れたと感じたら、確かめるのは他人の画面ではなく、自分の計画のほうだ。出発時刻がそこに書かれていなかったのなら、その列車は最初から自分の列車ではない。
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※ この記事は情報提供および学習を目的としたもので、投資助言・勧誘ではありません。取引の判断はご自身の責任でお願いします。
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