待っている時間は、何もしていない時間ではない

「待てない」のは我慢が足りないからではなく、待った日に成果が残らないからだ。価格が来る前にしか作れない三つの成果物と、一日の成果の数え方を変える話。

夜、チャートを開く。上位足の形は昨日と変わっていない。狙っている帯までは距離があって、今日そこに触る気配は無い。十分ほど眺めて、何も起きないので閉じる。ジャーナルは空欄のまま。「今日は何もしなかった」と書いて終わる日が、週に何日かある。

この「何もしなかった」という言い方のほうが、待ちを壊す。

待ちが続かないのは、たいてい我慢が足りないからではない。待ちに出力が無いからだ。人は、成果の出ない作業を長くは続けられない。エントリーだけを成果と定義している限り、待った日は空白に見える。実際には何も失っていないのに、心の帳簿では減っている。だから何か押したくなる。追わない技術(ブートキャンプ第10章)が精神論に見えるとしたら、この帳簿を直していないからだ。

待っている間にしか作れないもの

待ちの時間には、後で使えるものが作れる。

ひとつ、レベル。週と月のオープン、直近の高安、出来高が溜まった帯。落ち着いて引けるのは、そこに価格が無いあいだだけ。来てから引いた線は、来たことに合わせて引いてしまう。

ふたつ、無効化の言葉。「終値でここを抜けたら、この見方は無い」を、値段ではなく条件の文にして書いておく(ブートキャンプ第8章)。ポジションを持ってから書くと、書いた瞬間に甘くなる。持つ前に書いた一文だけが、後で自分と戦える。

みっつ、見送りの記録。今日触らなかった理由を一行。「帯まで遠い」「上位足と逆」「時間が無い」。これが溜まると、自分がどういう形なら待てるかが、記憶ではなく記録として残る。

数える単位を変える

一日の終わりに数えるものを、トレードの本数から「明日以降に使える待ち伏せの数」に変える。待ち伏せ一件とは、引いた帯と、その帯に対する無効化の一文と、触れたら鳴るアラートが揃った状態を指す。二つまでは数えない。帯を引いただけの日と、鳴る仕掛けまで作った日を同じ扱いにしないためだ。待ち伏せが一件増えた日は、ゼロトレードでも空白ではない。

この単位で数えはじめると、待ちの日に手が動く理由が消える。押す動機は「退屈」ではなく「今日の成果がゼロに見えること」だったからだ。

待つとは、何もしないことではない。動く日の作業を、動く前に済ませておくことだ。

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※ この記事は情報提供および学習を目的としたもので、投資助言・勧誘ではありません。取引の判断はご自身の責任でお願いします。

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