「取り返す」が始まると、終わりの条件がチャートの外に出る
損切りの後に始まる引き算は、チャートに向ける問いを入れ替える。取り返す一回がなぜ終わらないのか、そして次に入る前に書いておく一行について。
損切りを一つ終えたところで、口座の数字が減っている。次にどこで入るかを考えるより先に、頭の中で引き算が始まる。あといくら戻せば、朝と同じ数字になるか。この引き算が始まった時点で、チャートに向けている問いが入れ替わっている。
さっきまでは「ここに入る根拠があるか」を見ていた。いまは「どこに入れば、あの分が戻るか」を見ている。チャートは同じままで、問いだけが変わった。
金額から始めた問いには、いつでも答えが出る
「根拠があるか」という問いには、無い、という答えがある。だから見送りで終わる日がある。ところが「いくら戻すか」から始めた問いには、どんな画面を見ていても答えが出てしまう。一度に持つ数量を増やせば戻る計算になるし、判断に使う足(執行足)を短くすれば、入れそうな場所は同じ画面の中にいくらでも増える。
答えが出るので、計画を立てた気分になる。実際に変わったのは、損切りを置く場所の決め方だ。ふだんは「この形が崩れたと言える値段」に置いている。取り返しにいくときは「これ以上減るのは耐えられない金額」に置く。前者はチャートが決めていて、後者は口座が決めている。同じ「損切り」という言葉で呼んでいるが、置く理由が別のものに入れ替わっている。
終わりの条件が、チャートの外にある
ふだんの一回は、終わり方を先に決められる。想定した形が崩れたら切る、狙った水準まで来たら利確する。どちらの条件もチャートの上にあって、入る前に言葉にできる。
取り返す一回は、終わりの条件が「口座の数字が元に戻ること」になっている。これはチャートのどこにも書かれていない。だからどんなローソク足が出ても、やめる合図にはならない。一回で戻らなければもう一回、それでも戻らなければもう一回と、回数だけが増えていく。
値動きの側は、こちらの口座を見ていない。減った分をちょうど埋めたところで止まる理由はないし、埋まらないまま日をまたぐこともある。終わりの条件だけが、こちらの都合で決められている。
止める合図が画面に出ないのだから、自分で外から入れるしかない。損切りを一つ終えたら、次に入る前に一行だけ書く。「この入り方を、さっきの損が出る前でも同じようにやったか」。同じだと書けるなら入る。数量を増やすことが前提になっていたり、先に決めておいた執行足より短い足で見つけた場所なら、そこは入らずに見送る。
次の一回の前にその一行を書くところまでを、自分の手順に入れておく。
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