24時間動く市場で、「織り込み」はいつ起きるか
24時間動く市場には、取引開始という一点が無い。薄い時間と厚い時間で織り込みがどう分かれるのか、そして「終わったか」を量から見る問いの立て方。
朝、寝ている間に長い足が一本立っている。材料はとっくに出回っていて、タイムラインは「織り込み済み」の四文字で埋まっている。出遅れた気分になる。だがその足が、何時に、どれだけの量で作られたのかは、まだ誰も言っていない。
取引時間が決まっている市場なら、閉まっている間の材料は取引開始(オープン)の一点に集まる。ギャップができて、そこで一度精算される。24時間動く市場に、その一点は無い。だから織り込みは瞬間ではなく、時間帯の性質に沿って分かれて起きる。
薄い時間に付いた値段は、合意ではない
板が薄い時間(ブートキャンプ第1章)に材料が出ると、最初の数分、価格は少ない反対注文の上を滑る。動いた幅は大きいのに、交換された量は小さい。そこで付いた高値・安値は、多くの参加者が「その値段でよい」と認めた場所ではなく、認める者がいなかった場所だ。プロファイル(第5章)に掛ければ、細い印として残る。
板が厚くなる時間に入って、はじめて量が入る。同じ材料でも、値段が押し戻されることもあれば、量を伴って先へ進むこともある。この二つはまったく別の出来事なのに、日足の一本にまとめてしまえば、どちらも「材料で動いた陽線」に見える。足の色で織り込みの完了を判定すると、必ずこの区別を失う。
同じ材料は、何度も読み直される
24時間市場は眠らないのではなく、参加者が入れ替わり続けている。アジア時間に出た材料は、欧州が動き出せばもう一度、米国が来ればもう一度、別の顔ぶれに評価される。一回目に付けた値段が二回目に戻され、三回目に量を伴って決着することもある。
だから、判断を一回目の反応に固定しない。一回目が見せるのは「どこまで動けるか」で、二回目以降が見せるのは「その値段が保たれるか」だ。参照するレベルの更新は、一回りしてからにする。この記事では、薄い時間に付いた高値・安値を直ちに週の採用レベルにせず、厚い時間帯の再訪と取引量を確認してから採用する。これは本記事の運用条件で、再訪のない高値・安値が一般に使えないという意味ではない。
そして問いを取り替える。織り込まれたかどうかは外からは見えない。見えるのは、量が入った価格帯がどこへ移ったかだ。中心(POC)が前の価格帯より上へ移ったなら、交換の場所そのものが動いたということだ。POCが同じでも、他の価格帯の出来高分布は変化し得る。POCは同じ集計期間と価格刻みで比較する。
織り込みは、価格が跳ねた瞬間ではなく、量が入れ替わった場所に残る。
※ この記事は情報提供および学習を目的としたもので、投資助言・勧誘ではありません。取引の判断はご自身の責任でお願いします。
記事の一覧 | トレード用語集 | NoFOMO Club