発表をまたぐかどうかを、数字が出る前に決める
発表の瞬間、置いた値段どおりに損切りが成立するとは限らない。注文が実際にどう扱われるのかと、発表をまたぐかどうかを先に決めておくための考え方。
経済の数字が発表される時刻が近づいている。損切りは置いてあるし、反応しそうな値段に線も引いてある。時刻が来て、ローソク足が一瞬で伸びる。気づくと損切りは成立していたが、成立した値段は、自分が置いた値段よりも不利なところだった。予想を外したから損が膨らんだのではない。注文が、置いたとおりには扱われなかった。
数字の中身は、前もっては分からない。前もって決められるのは、その瞬間に自分の注文がどう扱われるかのほうだ。
置いた値段は、引き金であって約束ではない
ふだんの相場では、買いたい人と売りたい人の注文が値段ごとに細かく並んでいて、価格は一段ずつ動く(ブートキャンプ第1章)。発表の直後は、この並びが一瞬で薄くなる。注文を取り消す側のほうが、新しく出す側より速いからだ。
損切りの多くは、「この値段に触れたら、そのとき成立する値段でかまわないので決済する」という形(ストップマーケット注文)で置かれている。触れた瞬間に注文は出るが、そこに相手がいなければ、実際に成立するのはもっと先の値段になる。置いた値段は引き金であって、そこで止まるという約束ではない。
「これより不利な値段では決済しない」と条件を付ける形(ストップリミット注文)もある。不利な値段で成立することは避けられるが、価格がその範囲を飛び越えれば決済は起きず、ポジション(買いか売りを持っている状態)は残ってしまう。どちらを選んでも、持ったまま発表の時刻を迎える限り、片方の不確かさは残る。
これは損切りに限った話ではない。発表の瞬間に新しく入ろうとする注文も、同じ薄くなった並びの上で成立する。狙った値段で入ったつもりが、実際にはもっと不利な値段で入っていることがある。
だから、またぐかどうかを先に決める
決めておくのは一つでいい。この発表を、ポジションを持ったまま迎えるか、持たずに迎えるか。
持たずに迎えると決めたなら、時刻が来る前に手仕舞う。数字が出た後の動きには乗れないが、見送りも判断だ。
持ったまま迎えると決めたなら、置いた値段より不利なところで損切りが成立しても受け入れられる枚数まで、あらかじめ減らしておく。「置いた値段で止まる」前提のまま枚数を決めていると、その前提が外れたときだけ、損が想定を超える。
そして、どちらにしたかを、数字が出る前に書き残しておく。出た後に書くと、目の前の値動きのほうが理由を作ってしまう。
数字は当てにいかない。決めるのは、その瞬間に自分が持っているかどうかだ。
--- ※ この記事は情報提供および学習を目的としたもので、投資助言・勧誘ではありません。取引の判断はご自身の責任でお願いします。
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