同じ方向の玉は、1つの玉として数える

3つの玉に別々の損切りを置いても、同じ出来事で崩れるなら口座から見れば1つ。無効化を一文で書いて束ねる、リスクの数え方の手続き。

画面に玉が3つ並んでいる。別々の銘柄で、別々の日に入った。どれも損切りは口座の2%のところに置いてある。だから背負っているリスクは2%——そう数えたくなる。

だが、その3つが同じ理由で崩れるなら、持っているのは3つの玉ではなく、6%の玉が1つだ。

リスクの単位は、銘柄ではない

相関の話(ブートキャンプ8-6)は、たいてい「似た値動きのものを持ちすぎない」という注意で終わる。注意では足りない。要るのは数え方の変更だ。

リスクを数える単位は、銘柄でもチャートでもない。死に方である。同じ出来事で同時に無効化される玉は、口座から見れば1つの玉として振る舞う。名前が違うことも、入った日が違うことも、口座には関係がない。

厄介なのは、この束が普段は見えないところだ。平常時に3枚のチャートを並べれば、それぞれ違う形をしている。違う高値をつけ、違うタイミングで反発する。束が姿を現すのは全部が一斉に動く場面——つまり、いちばん見たくない場面だけだ。

束ね方

手続きは短い。

1. 各玉の無効化を、価格ではなく一文で書く(ブートキャンプ8-2)。「直近安値を日足終値で割ったら」のように 2. 書いた文を並べる。同じ文になったものは、1つに束ねる 3. 束ごとにリスクを合算する。上限(ブートキャンプ8-4)を当てるのは玉ごとではなく、束ごと。単純な足し算では足りない場合がある。値幅の大きさが銘柄で違う暗号通貨なら、ブートキャンプ8-6のとおり各玉にβを掛けてから合計する 4. 束が上限を超えていたら、問いは「どれを残すか」の1つに変わる

ここで効いてくるのが、「これはトレードではない」と思っている玉だ。長く置いてある現物、下がっても切らないと決めているもの。切らないと決めていても、同じ文で沈むなら同じ束に入る。数えていない玉は、リスクが無い玉ではない。

手続きの外に、注記が1つ要る。逆方向に見える玉だ。片方を売って片方を買っていれば、無効化の文は互いに裏返しになり、同じ文にはならない。同じ材料で両方が動いても、この束ね方では拾えない。ここでやるのは束ねることではなく、無効化の文を書き直すことだ。2つをまとめて1つと見たとき、何が起きれば成り立たなくなるのか。それを一文にできれば、あとは同じ手続きに戻せる。ただし合計を出すときに、逆方向の玉を差し引いてはいけない。ブートキャンプ8-6は「逆方向の玉は合計から差し引かない。ゼロとして扱う」と決めている。逆相関は不安定で、効いている間だけ枠が空いたつもりになり、切れた瞬間に両方やられるからだ。中立に見えていたものは、たいてい中立ではない。

玉の数を数えても、リスクは分からない。数えるのは、崩れ方の数。

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※ この記事は情報提供および学習を目的としたもので、投資助言・勧誘ではありません。取引の判断はご自身の責任でお願いします。

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